時代背景  | ふるさと-JAPANの音楽

西澤アニメの主要な位置をしめる音楽。前作に続き音楽監督に、鬼才クリヤ・マコトを起用し、すばらしい出来映えとなっていますが、今回は特に<童謡と唱歌>をテーマとして採り上げ、そこに日本独自の<美しさ>を見出していくことを意図しています。伝統と実力をそなえた3つの合唱団の子どもたちのすばらしい歌声をお楽しみください。

■童謡・唱歌とは

唱歌は明治以降の日本にあって、主に小中学校などの音楽教育のために作られた歌のことを指します。『小学唱歌集』の中に選ばれた歌の多くが、欧米で広く親しまれている民族歌謡や賛美歌を焼き直したものでした。そのため、「蛍の光」「むすんでひらいて」「庭の千草」ほか、日本固有の歌と思われがちな代表的な唱歌の故郷は、スコットランドやアイルランド、スペインなど、さまざまな国に渡っています。
また、唱歌は戦意高揚のために利用されましたが、戦後は戦争を肯定するような内容の歌は削除され、日本人の心象を描いたもの、多くの人々に愛唱されたものへと移行していきます。ふるさとJAPANのモチーフとなっている『荒城の月』もその一つです。
一方、童謡は、子どもたちに芸術的価値のある歌やお話を提供することを目的に、鈴木三重吉が創刊した児童雑誌『赤い鳥』(大正7年)から誕生しました。同誌に掲載された成田為三作曲の『かなりや』が最初の童謡とされています。
子どもの側から心を描き、子どもたちが楽しく歌える歌を届けたい、という鈴木三重吉の考えは当時の一流の作家たちからの賛同を得て、童謡運動および児童文学運動が興隆します。『赤い鳥』後も『金の舟』『コドモノクニ』などの多くの児童文学雑誌が出版され、最盛期には数十種にもなりました。北原白秋、西条八十、野口雨情らの詩に、成田為三、山田耕筰、中山晋平といった作曲家たちが曲をつけて歌い継がれています。

『花の街』
作詞 江間章子
作曲 團伊久磨
編曲 若松歓
唄 吉澤麻耶(杉並児童合唱団)、渡辺かおり

『赤とんぼ』
作詞 三木露風
作曲 山田耕筰
編曲 若松歓
合唱 森の木児童合唱団

『故郷(ふるさと)』
作詞 高野辰之
作曲 岡野貞一
編曲 若松歓
独唱 五十嵐桜子
合唱 タンポポ児童合唱団

『浜辺の歌』
作詞 林古渓
作曲 成田為三
編曲 若松歓
合唱 森の木児童合唱団

『月の沙漠』
作詞 加藤まさお
作曲 佐々木すぐる
編曲 クリヤ・マコト
独唱 古谷桃香 吉澤麻耶
合唱 杉並児童合唱団

■新垣勉さんとKOKIAさん

西澤監督と新垣勉さんの『荒城の月』 との出会いが、今回の映画のスタートになりました。
監督はたまたま買った新垣さんのCDを新幹線の中で聴いて心が震えたそうです。そして、童謡・唱歌を大きく採り上げ、その素晴らしさを伝えていけるアニメーションを作りたい、という衝動に突き動かされたそうです。
新垣さんがスタートとすれば、ゴールはKOKIAさんでした。エンディング曲で、監督はずっと悩んでいました。前作と同じように、自分で作詞をしクリヤさんに作曲を頼んでオリジナル曲でいくか、それともクリヤさんのピアノ曲でしめるか……そんな時、KOKIAさんの「歌う人」に出会ったのだそうです。「この歌こそ、この映画の為につくられた曲だ」と直感した監督は、すぐに村上プロデューサーに交渉を頼んだそうです。


<モチーフ曲>
『荒城の月』(アットマーク)
唄  新垣 勉
作詞 土井 晩翠
作曲 滝 廉太郎

<エンディング・テーマ曲>
『歌う人』(ビクターエンタテインメント)
唄  KOKIA
作詞 KOKIA
作曲 KOKIA

■その他の音楽

<劇中曲>

『リンゴの歌』
作詞 サトウ ハチロー
作曲 万城目 正
唄 並木 路子

『東京キッド』
作詞 藤浦 洸
作曲 万城目 正
唄 美空 ひばり

『白い花の咲く頃』
作詞 寺尾 智沙
作曲 田村 しげる
唄 岡本 敦郎

落語『薮入り』 三代目三遊亭金馬
浪曲 『石松三十石船』 二代目 広沢虎造