第12回リヨン・アジア映画祭(2006年11月7日〜13日)《子ども映画部門》&《アニメーション部門》でグランプリ!ダブル受賞

フランス、パリに次ぐ大都市リヨンで開催される”リヨン・アジア映画祭は今年で12回目を迎えました。
リヨンは世界遺産の街、また美食文化の街として有名ですが、リュミエール兄弟によって、映画という媒体、シネマトグラフが発明された場所でもあります。
リュミエール兄弟が初めて映画興行を行ったのが1895年。その100年後にあたる1995年、この地で、インド映画祭”ノクターン・インディアン”をスタートさせました。

1997年からはアジア全体に焦点をあて、アジアの実写映画、アニメーションなど80の映画が上映され、あわせてアジア文化を紹介するイベントも開催。
映画館5館を含む、本屋さんやアートギャラリーなど40会場以上で映画や文化イベントが繰り広げられ、リヨンはさながらアジアの都となります。

 
 
 
 
今回「ふるさと-JAPAN」は<アニメーション部門>で「パプリカ」(今敏監督)、「鋼の錬金術師」(水島新司監督)とともにコンペティションノミネート。
<子ども映画部門>では中国やタイの映画5作品とともにノミネートされ、12日の授賞式では、その両方でグランプリを受賞しました。

(この映画祭では、ワオコーポレーションの長編アニメーション第1作「NITABOH」が”観客によるベストアニメ映画賞”第1位に選ばれています

●映画祭の様子を詳しく紹介します●

 
 

11月のリヨンはもっと冷え込むはずなのに、朝は吐く息が白いものの、陽が射すとコートを脱ぎたくなるような気候で、お天気が続いてとても気持ちのいい日々でした。

「ふるさとーJAPAN」の上映は11月11日。
その日は時折小雨がちらつくお天気でしたが、会場の“Le Zola”前はずいぶん前から人だかりがして、開場と同時に館内は満員の状態です。

上映前の監督挨拶では、映画にこめた想いやその内容が語られました。
映画が暗闇の中から聞こえる機銃掃射の音で始まること、白黒の画面は戦争の暗い時代から、敗戦の混乱期を表現し、その後の、しだいに復興していく様子をカラーで表現したこと。
“特攻隊”の場面があるが、それは監督なりに反戦の思いを込めて描いたことなどが語られました。

フランスの人々に50年前の日本の話が理解してもらえるのか?

 

100分の上映後は、拍手が鳴り止まず…
その後、観客から質問が続きます。
「音楽がとてもいいけど、誰の曲ですか?」
「映画の中のアキラはもしかして監督自身?」
「なぜ、日本での公開前にリヨンで上映したのですか?」などなど。

最後の質問に監督は
[学生時代に監督になりたかったのですが、そのころ、フランスの映画監督、フランソワー・トリュフォー監督やジャン=リュック=ゴダール監督、ルイ・マル監督の映画を良く観ていて、3人の影響をうけたと思います。今回、フランスで上映することで、少しでもその恩返しができたらいいなと考えました」
観客から再び盛大な拍手があがったのでした。

 

映画祭期間中、会場となったシネマオペラやPATHEPATHE劇場など、上映前になるとどこも行列ができる状態です。みんなチケットを買っての入場。リヨン市民の映画に対する思い、またそういった文化度の高さをひしひしと感じることができました。

 

12日 いよいよ発表です。

会場となったASTORIA前には、2重3重の列ができていて、大きな会場もあっという間に満員。閉会式は立ち見もでる状況でした。

発表は<子ども映画部門>から ----
呼び上げられたのは「ふるさとーJAPAN」!
フランス語なので他のことばはわからなくても、“ふるさと”と“西澤昭男“ははっきりと聞きとれました。オーッ!と拍手と声に押されて監督は舞台へ〜

 

<子ども映画部門>は、実際にリヨンの中学校で生徒たちが鑑賞し、生徒さんが審査員となって、投票と感想文を書いてくれたということです。
いくつか感想文も読み上げられました。
◎映画の中で歌(童謡のこと)が歌われているけど、ラストにかけてだんだん素晴らしくなっていって、盛り上がっていったところが感動的だった。
◎監督が自分の子どものころの話をまとめたから、感動的に仕上がったんだなと思った。

子どもたちが選んでくれたことが、本当にうれしいかったです。

 
 

次に<アニメーション部門>の発表です。
「鋼の錬金術師」が3位、「パプリカ」が2位と呼ばれ、ついに「ふるさとーJAPAN」が1位に選ばれました。
ダブル受賞です。
が、はじめは監督もスタッフも理解できず、ボーッとしていたというのが、本当のところです。

舞台に上がった監督、まずはフランス語で“メルシー・ボク“(有難うございます)の一声。
この映画は日本の子どもたちに向けたメッセージとして作ったが、映画の発祥のこの地で、みなさんに理解していただき、また評価を受けて大変うれしく思っていること、自分のアニメがマンガや劇画というより、実写映画に近い描き方をしていること、などが語られ、最後に「自分は60歳から映画監督になりました。ここにおられるみなさんも
いくつからでも映画を創ることができます。どうかがんばってください」と締めくくりました。

 

授賞式の後は、この映画祭の責任者、ジャン・ピエール・ギメネズさんはじめ、映画祭を支えたスタッフの方々との夕食会。
みんなで、中華料理を食べながら、わいわい映画のことを夜がふけるまで話し合う、リヨンの人々の映画にこめる熱い気持ちに、私たちも感動を覚えた夜でした。

<文・写真 西澤真佐栄>

今回の受賞作品は、以下のとおりです。

【子ども 審査員賞 】
1st:ふるさと−JAPAN 監督 西澤 昭男 (日本)
2nd:LOVE FOR SHARE (分け合う愛) 監督 Nia Dinata (インドネシア)
3rd:JUMP! BOY’S(ジャンプ!ボーイズ) 監督 Lin Yu-hsien (台湾)

【観客によるベストアニメ映画賞】
1st:ふるさと−JAPAN 監督 西澤 昭男 (日本)
2nd:パプリカ 監督 今 敏 (日本)
3rd:鋼の錬金術師 監督 水島 精二 (日本)

【観客によるベスト映画賞】
1st:RANG DE BASANTI (バサンチのランク) 監督 Rakeysh Omprakash (インド)
2nd:LOVE FOR SHARE (分け合う愛)監督 Nia Dinata (インドネシア)
3rd:THE SHOE FAIRY (靴の妖精)監督 Robin Lee (台湾)

【観客によるニューアジアシネマ部門賞】
1st:FIVE IS TOO MANY (5は多すぎる)監督 Ahn Seul-ki (韓国)
2nd:STORIES FROM THE NORTH (北からの物語) 監督 Uruphong Raksasad (台湾) 
3rd:BRIGHT PEARL (輝く真珠)監督 Jun Wu (中国)

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