制作ノートインデックスメイキング08
 
 
★「ふるさとーJAPAN」をどんな色合いでつくりあげるか
昭和31年の街の様子や人々が着ていた服などに、どんな色を使うかは、映画のイメージを大きく左右する。ひとつひとつの色を決めて、映画全体の色合いをつくりあげていくのが”色彩設計”で、この段階でとても大切な仕事だ。
前作「NITABOH」では、監督から「浮世絵の世界を参考にして色のイメージを膨らませてほしい」との要請があり、夕陽に映える岩木川の川面のシーンでは、うすい赤紫色の川がとても印象的だった。他にも、雪景色の白、風くるまの赤、画面一面に広がる黄色い花畑など、多くの場面が今も記憶に残っている。
今回は、昭和31年の東京下町が舞台、戦後10年、あのころ〜・・・振り返ると記憶の中ではまだまだ無彩色で白黒世界のように錯覚するけど、実際にはたくさんの色が街にあふれていた。それを、どんなふうにアニメに取り入れるかが、大きなテーマとなった。
西澤アニメは、従来のマンガに近いアニメとは違って、実写映画に近いのが特徴の
ひとつ。今回も「色に限らず、できるだけ当時に忠実にリアルに表現したい」との監督の言葉に、色彩設計担当の金丸ゆう子さんは奮闘した。
総作画監督の釘宮さん、演出の飯島さん、美術の工藤さんと共に、登場人物の服の色などひとつひとつを決めていく作業へと進んだのである。

洋服の色は当時の写真や映画を見て検討。だが、あまり忠実に色を再現すると、現代にはあわない違和感のある色になってしまう。例えば、”赤”も昭和30年代の”赤”と今私達が目にしている”赤”ではずいぶん違う。当時はかなり強い、きつい赤だった。そのあたりの議論を重ねながら、今回の「ふるさと-JAPAN」の色合いができあがった。
ズボンやスカート、ブラウスの色を決め、さらに季節感を出すために夏服・冬服の色も決めていく。

時に議論は対立する場面も。
キャラクターデザインを担当した釘宮さんは、よりリアルさを追求。それに対して
飯島さんはあまりリアルだと、暗すぎて、子どもたちのもっている明るさやエネルギーがでてこないのでは・・・と心配。学校の校舎も美術の工藤さんは、できるだけきれいに描きたいと考えていたが、監督の「まだまだこの時代、壁ははがれていたし、いろんなところが汚れていたりとと、こんなにきれいじゃなかったよ。」の言葉に、どのくらい汚れた壁を再現するかに一苦労。 4月中旬、ようやく全体の色彩設計が完成した。
★登場人物が多い。
この物語は先生と子どもたちのの群像劇で、登場人物も 自然と多くなる。よく登場するメインキャラクターも10人。 そこで場面ごとに 誰と誰がでてくるかをチェック。一画面にでてくる人物の服の色が重ならないように、また地味になりすぎたりしないように、細かい注意がはらわれた。 その上背景の色とも重ならないことが重要。 教室の中や黒板の前、家の中や、お店や公園といった背景にできあがったキャラクターをのせてみてバックの色と重なって見えにくくならないかを調べていった。

CGでの制作も順調に進んでいます。
江東区にある永代橋は、CG制作。
また、線香花火もCGで。
パチパチと燃える様子が、本物のようにつくられています。
 
 
<文・写真 西澤真佐栄>