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![「NITABOH]に続いての2作目。ワオ・コーポレーションのアニメ製作はどのような意味をもっているのですか?](../images/staff/interview01.jpg)
私が学習塾の経営に携わって30年が経ちました。
進学や進路等の相談を通じ、子どもたちの心の問題にもかかわってきましたが、その際、強く感じるようになったのが、子どもたちに感動や感激といったものが希薄になっているという点でした。われわれでもできることもあるはず――そう考え、音楽会やミュージカル、映画上映など子どもたちの心を豊かにする活動にも取り組んできたのです。さらに、その延長としてわれわれ自らが子どもたちへのメッセージを込めたものをつくる。それが、アニメ製作だったわけです。
たとえば、最近、人のことを「思う」ということや、自分に与えられる様々なものに対して感謝の気持ちを持つといったことが、薄れています。以前では考えられないような事件も頻発しています。それらは子どもたちの心の問題に深く関係している、と思うのです。
アニメという表現手段なら、子どもたちも入っていきやすく私たちのメッセージも伝わりやすい。楽しみながら心を豊かにしていくことができる――われわれが目指してきた、学びのなかにエンターテインメント的な要素を入れる、「エデュケーションとエンターテインメントの融合」(=エデュテインメント)が、アニメなら比較的容易に実現可能なんですね。子どもたちだけでなく、大人も含めてファミリーで楽しめる。そういう視点をもったアニメをつくるのも私のねらいとするところなのです。
この作品はフィクションですが、私自身の子ども時代を反映した部分がかなりあります。たとえば、昭和31年には私は中学1年でしたし、舞台は私の育った東京・深川の木場です。女の子が転校してきたり、その子とは別の子ですが同級生が海水浴で亡くなったというのも実際にあった話です。
ただし、「昭和31年」という舞台設定には、それ以上の意味があります。
この年、日本は国際連合に加盟し再び世界の仲間入りを果たしました。また、『経済白書』で「もはや戦後ではない」と謳われ、日本は一気に経済発展に向かっていきました。つまり、「昭和31年」という年は、日本人の価値観のターニングポイントだったわけです。しかし、それから半世紀、物質的な豊かさを追い求めていく過程で、日本人が本来もっていた「心の豊かさ」や、日本独自の文化や伝統といったものが失われてしまったように思えてならない。今回の作品の重要なモチーフである童謡もその一つで、子どもたちが口ずさまなくなって久しいですよね。われわれが置き忘れてきたものを見直そう。この物語には、そんなメッセージを込めているのです。
加えてもう一つ、私がテーマにしたことがあります。作品のなかの“2人の死”を通して、「人が人を想うことの尊さ」を訴えたかった。戦争による死と平時の不慮の死という異なった形で2人の人間が死にますが、彼らは残された人間の心の中にしっかりと生き続けます。そこにあるのは“魂の絆”です。それを感じ取ってもらうことによって、子どもたちに「自分の生」そして「他人の生」についてもっともっと深く考えるきっかけを与えられればと願っています。
素晴らしい絵とストーリーに、素晴らしい音楽が加われば、よりいっそう子どもたちの心を魅きつけることができます。音楽には人の心を揺さぶるところがある、それが一番の理由です。しかも、今回のテーマの一つは「日本のよさの再確認」。津軽三味線もそうですが、日本の童謡は最近海外でも高く評価されており、日本人自身にそのことを再認識してもらいたいという願いを込めました。新垣勉さんとKOKIAさん、そして杉並合唱団をはじめとする合唱団のご協力を得ることもできて、音楽という面でも前作にも増していい仕上がりにすることができたと自負しています。
当社はことし創業30周年も迎えます。その記念イベントとして全国各地で会員・関係者を対象の「完成披露試写会」をまずは実施します。一般に向けてのロードショウ上映は、そのあと秋から冬を予定しています。その後、おそらく2007年以降になりますが、『NITABOH』と同様、全国で独自の「キャラバン上映」を行う考えでいます。また、これも『NITABOH』と同様、海外の映画祭等にも積極的に出していきます。また、教育活動や『NITABOH』の上映で築いてきた地域とのネットワークを大切にしたい。そして、そのネットワークを通じて、一人でも多くの人に『ふるさと−JAPAN』を観てもらい、私たちのメッセージを届けたいと思っています。